まぶたを上げる仕組み、眼瞼下垂症についての詳細 | 奈良 樹のひかり形成外科・皮ふ科

院長コラムblog

まぶたを上げる仕組み、眼瞼下垂症についての詳細

まぶたを上げる仕組みについて

まぶたが上がる構造を理解するには、上まぶたの構造を理解する必要があります。

まぶたの中には、「瞼板・腱膜・上眼瞼挙筋・ミュラー筋」などがあります。

上眼瞼挙筋は途中から薄い膜状の「腱膜」と呼ばれる組織になりその「腱膜」が「瞼板」に付着しています。上眼瞼挙筋が収縮をして、腱膜を介して瞼板に力が加わることで瞼板が引き上げられてまぶたが開きます。

ミュラー筋は腱膜の後方にあり、上眼瞼挙筋と瞼板をつないでいて、まぶたの開き具合を調節するセンサーの働きをしています。

 

先天性眼瞼下垂症

先天性眼瞼下垂症とは、まぶたを上げる筋肉である上眼瞼挙筋の発育不全が原因です。まぶたを上げる“エンジン”である挙筋がもともと弱く、まぶたが上がらない状態です。

そのため、目はパッチリ開けることが出来ず眠そうに見えたり、顎を上げて正面を見るといった特徴的な姿勢をとることになります。

少しでも目を上げるには“別のエンジン”を使う必要があります。その“別のエンジン”となりえるのが、眉を上げる筋肉である「前頭筋」です。先天性眼瞼下垂の方は、もともと「前頭筋」を使って眉を上げる傾向がありますが、「前頭筋」は本来まぶたを上げる筋肉ではないため、力が効率的に伝わりません。

治療には「前頭筋」の力を効率的にまぶたに伝える仕組みを作る事が必要です。効率的に力を伝える“ベルト”の役割を作る手術が「筋膜移植術」です。「瞼板」と「前頭筋」の間に筋膜を移植することで、「前頭筋」の力を効率的に「瞼板」に伝わるようにします。

 

後天性眼瞼下垂症(主に腱膜性眼瞼下垂症について)

後天性眼瞼下垂症とは、先天性とは違い何らかの原因で後から眼瞼下垂症が生じる病態です。原因には動眼神経麻痺・重症筋無力症・ホルネル症候群・外眼筋ミオパチーなど多くの病態がありますが、最も多いのが、腱膜の菲薄化(伸びてしまう事)が原因で起こる「腱膜性眼瞼下垂症」です。

つまり、腱膜が菲薄化して伸びることで瞼板への付着が緩んでしまうと、上眼瞼挙筋の収縮が上手く腱膜に伝わらなくなります。その代わりに腱膜の裏にあるミュラー筋が働いて、瞼板を持ち上げようとします。ミュラー筋は交感神経により支配されているため、目を開けるためには常に交感神経(緊張を高める神経)を使っていないといけません。それが疲れの原因になったり、頭痛・肩こりの原因になったりします。

しかしミュラー筋で瞼板を支える状態が長く続いてくると、次第にミュラー筋も菲薄化していきます。そして、瞼板を支えられなくなってしまうと、ついに上眼瞼挙筋の力が瞼板に伝わらず、まぶたが上がらない状態になります。これが「腱膜性眼瞼下垂症」です。多くの場合は、両方同時に起こることが多いですが、片側のみに起こる場合もあります。

腱膜性眼瞼下垂症の原因は、加齢だけではありません。白内障手術やコンタクトレンズの長期装用でも起こってきますし、花粉症やアトピーで目をよく擦る人や、逆まつ毛、アイメイクで目の周りを良く触る人は、若くても「腱膜性眼瞼下垂症」になることもあります。

治療は、伸びてしまった腱膜(伸びてしまったベルト)を短くすることで、上眼瞼挙筋(エンジン)の力が腱膜(ベルト)を介して瞼板(車輪)に効率よく伝わるようにする手術です。

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