①斜鼻の原因が骨性なのか、軟骨性なのか、両方なのか、術前の診断が大切です。

原因によって治療法が大きく変わってきます。そのためCT撮影などの術前検査などを入念に行い、正確な診断を行う必要があります。「斜鼻の治療＝鼻骨骨切り術」と言っているクリニックもあります。これだけでは軟骨性斜鼻は治りません。そのため、術前の評価をしっかりしてもらってから、施術を受けることをお勧めします。

②明らかな外傷による異常な斜鼻変形には健康保険が適用されることがあります。

骨折などの外傷に伴う鞍鼻・低鼻には、画像検査や病歴をお調べした上で健康保険が適用される場合があります。そのため、上記に当たる患者さまは、健康保険取扱い医療機関で一度ご相談される事をお勧めします。

③鼻の構造を熟知している事が大前提の手術です。

斜鼻の修正術は「鼻骨骨切り術」と「鼻軟骨形成術」の組み合わせで行います。
「鼻骨骨切り術」というのは、「骨切り」と言う名前から想像出来ないくらい、驚くほど小さい切開(頬は2-3mm、鼻腔内は数ミリ)で完結する手術です。これが何を意味するかと言うと、「鼻骨骨切り術」は、実際に骨を見ながら切る手術ではないということです。つまり、小さな創からギリギリ入る手術道具で、骨を感じながら切っていく手術になります。それには骨の構造を完全に理解して、さらに道具の先で、“切っている骨が今どうなっているか”を判断する技術と経験が必要です。

また、「鼻軟骨形成術」は5つある鼻軟骨の形態や位置関係を修正することで歪みを治していく手術です。そして、既存の軟骨だけでは歪みを治せないと判断した時は、軟骨移植(耳介軟骨・鼻中隔軟骨・肋軟骨)が必要になります。どれを選択するかには経験が必要ですし、これらの手術操作によって鼻の機能自体を損なわずに行う必要性があります。

※外鼻の手術が難しい理由はこちら

多くの美容外科があるなかで、「斜鼻修正術」が広く普及していないのは、上記の技術と経験を習得した医師が非常に少ないためです。

そこで患者様にとって一番気になるのは、「適切な医師を判断するには？」と言う事になるのではないでしょうか。一つの判断材料として、“形成外科専門医の資格を持つ美容外科医”という点は指標になるかもしれません。
形成外科専門医というのは、顔面骨の治療に携わり、その治療の専門的なトレーニングを受け、ある一定の知識が無いと得られない資格だからです。その上で診察を受け、担当医師の経験や実際に手術をした患者さまの写真などを見せてもらい、医師が信頼できる技術と知識と経験があるのかを見極めるようにしてください。

④軽度の歪みの場合、鼻のプロテーゼ(隆鼻術)でも修正は可能です。

軽度の斜鼻の場合、曲がった鼻の上に、プロテーゼを挿入することで歪みの印象を軽減する方法もあります。しかし、これにはプロテーゼの加工に極めて高度な技術が必要です。
稚拙な技術では逆に歪みを強調させることもあります。また、将来的にズレが生じることもあるため、十分な配慮が必要です。

以上のように、「斜鼻」といっても、お鼻の状態は人それぞれで、画一的な手術でという訳ではありません。それぞれの鼻によって「鼻骨骨切り術」、「鼻軟骨形成術」、「鼻尖形成術」どれを組み合わせるかが違ってきます。
また、各施術にも多彩なバリエーションがあります。あらゆる選択肢を視野に入れたうえで、最もご自身に合った施術を受けることをお勧めします。

そのためには、患者さま自身が、自分の鼻について何も知らずに手術を受ける事はお勧めしません。“自分の鼻がどういう鼻なのか”を自身が理解をする事が必要です。
また、担当医師に「どのような点に気を付けて手術を行うのか？」などの質問をしてみるのも良いでしょう。丁寧かつ適切に答えてくれる医師は、経験も豊富で手術バリエーションも豊富な事が多いと思われます。

さらに、ご希望の鼻の「形」を担当医師と共有していないと、想像したものと違った場合にトラブルになる事もあります。手術前に医師による十分な説明を受け、場合によっては術前CGシミュレーションなどで担当医師とイメージを共有する事もご検討するのが良いでしょう。

まとめると、次のようなチェックポイントを意識して、よいクリニックを選択してください。

・手術前に、医師による十分な説明があるか？
・正確なシミュレーションを受けられるか？
・トラブル時に適切な修正手術が可能か？
・鼻形成分野の専門的知識と技術があるか？
・対応に誠意が感じられるか？

単に「有名なクリニックだから」と言う理由で、安易に選択する事がないようにしましょう。こうした点をふまえた上で、納得の施術を受けることをお勧めします。